初!初!タケノコさん

タケノコ

ここ数日雨続き。畑仕事にさしさわる菜種梅雨だけど良いこともある。
それは、タケノコに早く会えるから。”雨後のタケノコ”は旬の味”筍”と書く。

  • タケノコと猪

朝、竹林に行った。「もう出てるかな、ワクワク気持ち」と一歩踏み出したら何と、無残にもタケノコの皮が散乱、深い穴に食べ残りが。
「猪だ」
猪も美味しい部分を知っていて、地上部に顔を出したところは残して地中部を食べている。

  • えぐみは早い

足の裏で草を踏みつけ必死で探した。三本見つかった。
地中からおてんとうさまを拝んだとたんにえぐみは数時間単位で増していく。朝早く掘り起こしてすぐ米ぬかでゆがくのがコツ。ぬかのカルシウムとえぐみ成分が結合して中和されるから。
お蕎麦ではないが、採れたてゆがきたてであれば、高級料亭に卸すタケノコに引けは取らない味になる。
その意味で【お店に並ぶ皮付きの”取れたて”タケノコは決して買わないようにしましょうね】

「タケノコは身体に悪い」説が幅をきかした時もあった。吹き出物、栄養の消化吸収を妨げると。
最近は「チロシン」成分が脳を活性化するといわれている。
ワカメとタケノコの炊き合わせで食べると機能性が良いとも言う。
ワカメにも旬があるらしい。八十八夜を過ぎる頃、水温が上がってくるとワカメの命はとだえる。

  • 竹の神秘性

お祝い事に竹は縁起物とされてきた。
正月の門松や地鎮祭の齋竹、七夕の青竹、かぐや姫物語は夢がある。

  • 竹の生命力

魚の防腐には笹の葉がいい。握り飯は竹の皮に包む。竹筒に水を入れて腰にぶら下げる。抗酸化作用があるのだろう。
熊はカリウムが多い根曲竹(熊笹)を食べ、冬を乗り切る。昔は牛馬に笹の葉を食べさせて病気に備えたという。

  • タケノコの思い出は京都・乙訓地方

京都時代には、乙訓の朝堀のタケノコをよく買いに行った。
草一つ無い手入れが行き届いた竹林が延々と続く長岡京向日市のタケノコは美味しかった。刺身にしても食べられるとは、その当時ビックリしたものだ。
長岡京にはタケノコ料理専門の「錦水亭(きんすいてい)」があるが、洛西にたしか「荀亭(じゅんてい)」というのもあった記憶がある。竹筒に酒を入れ、沸かすと竹のエキスにお酒が混じり、のどが喜んだ。
この季節、全国からの予約客でいつもいっぱい、値段も高い。

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孟宗竹のタケノコが終われば、破竹やマダケの季節になり、太陽サンサンのまっすぐ、長く伸びたマダケをポキット折って食べる。猪は横向く人間様の食べ物だ。