HAPPY WEDDING!!!


昔々のことじゃった
肥後の山鹿っちゅうところの山奥に河鹿蛙(カジカガエル)の王国があってな
そこのアキノ王子は何が楽しくて歌うのだと、嘆いてばかりいたそうな
ある日、家を出て、修行の旅に出てしもうたが、苦行では悟りはえられんかったのじゃ
そこで断食をやめ、川に身を清めに行こうとしたけれど、もう腹がすいて歩けんかった
そのとき、頭に小さな灯篭をのせた幼いアミータがとおりかかったんじや
ガリガリのカエルを哀れに想ったアミータは夜食のパンを口で柔らかく、パン粥にしてたべさせたんじゃな
元気になったアキノ王子は目の前にいる可愛いアミータに一目ぼれしてしもうたが、なにしろ相手は人間じゃ
そこで、乳母の魔女キリコに自分を人間にして欲しいと頼んだんじゃな
キリコは人のために役に立つことをしたら、かなえようと約束したんじゃよ
王子は菩提樹の下に座し叡智を得、人々の囚われの苦しみをとき放していったんじゃ



青年に生まれ変わった王子はフロッグコートを売りながら恋焦がれるアミータを探し回ったんじゃが、ま〜運命の段取りはちゃんと出来ているもんで、アミータの友人を介して二人は出会ったんじゃよ
それから、ひと月半、デート3回目で王子はプロポーズしたんじゃぞ



今日はそのお祝いがホテル・ニューオオタニであったんじゃ
最高に暑い日じゃというのに120人もの人が駆けつけてくれてな、それはそれは盛大な結婚式じゃった
]
輝くようなアミータに、アキノは緩みっぱなしの顔じゃったよ

カジカ王国からは、気のいい酒豪の王様、教育熱心な王妃様、ユニークな妹君
嫁さん募集中の兄上、乳母のキリコ、牛使いのヒツジじゃない執事、が、24時までの魔法をかけて参加じゃ
さすが、ホテル・ニューオオタニじゃな
わしは厨房で先に味見しておったんじゃが料理はどれも美味しかったな
で、盛り上がる余興はやっぱり歌じゃ
各テーブルから代表がお祝いを歌ったんじゃがな、

ひょうきんものの妹君は、てんとう虫の衣装をちゃっかり用意して、そりゃ盛り上がった、盛り上がった

乳母のキリコもその格好に笑いすぎて、又、目じりのしわを増やしてしもうたぞ


いい、結婚式じゃったな〜、

”縦の糸はあなた、横の糸はあたし、会うべき糸に出会えることを、人は仕合せといいます”
エンディング・ソングはキリコも涙ぐんでおったが、中島みゆきの”糸”じゃった
そうじゃよ、この広い世の中で二人が出会えたということはとても仕合せな事なんじゃよ



おっと24時になりそうじゃが、皆はどうしてるんじゃろ
おお、2次会をあわてて抜け出してきたようじゃな
ありゃりゃ、山奥の蛙たちは、もう汗だらだら、化粧も崩れかけてきてるし
あご半分出して、足取りも重くなってきたぞ
都会人に踏み潰されるのも時間の問題だな、知らん振りして、はよカエロ