今週のお題・お父さんありがとう、「世界中は繋がっている」


父は2年前の2月28日にに87歳で亡くなった
正月過ぎてから、食欲がなくなり痩せてきたので、妹に連れられて病院へいったら、
肺がんが見つかった
私は2月中旬に上京し、しばらく病院にかよった
大体が無口な父だったし、若いときは焼酎呑兵衛で、母とよく喧嘩してちゃぶ台ひっくり返してたから、
悲しくて、腹立って、子供の時から私はべたーっと甘えられなかった
父もなんとなく長女の私には、きまづい想いがあったのだろう、
お互い口数も少なく、私は毎日病室に通い軽いレイキを当て、車椅子を押して散歩する
黙って側にいても、父も休みづらいだろうと、父が昼寝する頃には実家へ戻っていた
食事が喉を通らなくなり、点滴だけの入院生活でしゃべるのも辛いときは
父は紙に書いたり、手振りで言わんとすることを伝えた
けれどいつも、ひょろひょろ字で生活は大丈夫か?畑仕事は大丈夫か?と書くのだった



28日の夕方、妹から、電話があった
「お父さん、この頃、顔色いいみたいだよ
ただ、今日ね、若い頃のことをいろいろ思い出しては話すんだよ
そしてね、急にお母さんの後ろ側を見て、”紐が下がってるからどけてくれっ”ていうの
二人で見たけど、壁に紐なんか下がってないしね
”そんなの無いよ”っていったら、はっとした顔で”そうか”って」
「ところで姉ちゃん、何かお父さんに対してやってるのー?」
「なんで?」
「看護婦さんに、”毎晩、阿蘇の娘がベッドの側に来ているんです、おかしいです”って話すんだって」
「うん、お父さんがベッドの上に座ってニコニコしている様子思い浮かべながら、
寝る前に遠隔レイキ送っているよ」
「そうかー、それとね、お父さんに世界はつながってるなんて話した〜?」
「そんな事話す訳ないじゃん!お父さん、そんな話題しても信用しないよ」
「でもね、紙にいっぱい書いてあるんだよ
世界中は繋がっている、ありがとう、ありがとうって」
「ふ〜ん、どこの世界のことなんだろう」
「じゃ〜ね、とりあえず、お父さんは元気でいるから、姉ちゃんも頑張ってー」

それから、30分後、電話
「姉ちゃん、病院から電話、お父さん容態が急変したんだって!
昼間、元気だったんだよ、訳分かんないよ!とりあえず病院へ行ってくる、ガチャン」

夜、泣きながらの電話
「姉ちゃん、お父さん逝っちゃった!
夕方、担当の先生と話ししてたんだって
その時、優しい顔つきで、”今日はまだお迎えの人が見えないんです”って言ったんだって
先生が”まだまだ来ませんよ”って話して、病室を出て30分後ぐらいだったんだって」
翌朝、対面したときの父の顔は、すき通ってて今まで見た中で一番優しい顔をしていた



「世界中は繋がっている」このヒョロヒョロした字の文面は今、私の手元にある
お父さん、有難う
”あの世とこの世、過去も未来も、あなたも私も、地球も宇宙も、みんな繋がっている”
このことをお父さんは最後にしっかり教えてくれたんだと想ってます


写真は、靭草(うつぼぐさ)別名、夏枯草(かこそう)