連携プレー

お蔭様で母は今日も安定していました


このホームには、一人暮らしでこの先の安心のために入居する方もいると聞いてます
いつも、ジーパンにポロシャツ姿の石原都知事に似たMさんもそうだと思い声をかけました
「お一人になられて、安心できる環境を選ばれたんですか?」
「いや、家はあるし女房もいるよ」
「あら、じゃ、今後のために、先にご主人が体験入居なんですか?」
「うーん、そうなんかな?
実はね、俺、定年後も延長で会社役員しててね
それなりに自信があったから、家でもわがままだったのかな
ある日女房が、”しばらくおひまください”って出て行っちゃった
実家に帰ったのかと思ってたんだけど、いつまでたっても帰って来ない
不自由ってもんじゃないよ、なんも出来ないんだから
コンビに弁当にも飽きたころ、
”お父さん、私いい所見つけたから、ここに住むわ”って、電話かかってきて
根掘り葉掘り聞いたら、ここにいたんだな
頭にきて尋ねて来たら、近くにいる息子たちも来てて、楽しそうにしてんの
それで、俺も一緒に酒飲んで、眠くなったら泊まっていけばって
で、朝、気がついたら誰もいないの
手紙があって、”ここ住みやすいから、別宅と思って少しゆっくりしたら
交代で私が家に帰って犬の世話します、って」
「あらー、良かったじゃないですか
ここは、上げ膳据え膳だし、出いりは自由だし、悠々自適ですよね」



翌日、Mさんを見つけて挨拶すると、にこっとしたものの
「あんた、誰だっけ?」
「あっ、昨日、いろいろお話聞いたものですが」
「ああ、そうだっけ?いや〜実は俺ね〜・・・」
と、又同じ事をしゃべり始めました


???、!!!


まだ、70才前だと思うのですが・・・
アルツハイマーは、症状が進むと人格も変わってしまい、家庭が崩壊することもあります

彼は仕事一筋できた誇り高き企業戦士
ご家族は傷つけないように、悟られないように真剣に話し合ったんでしょうね


何回もこのホームに出入りしていると、ここに集う方の生き方や背後の家族の様子も見えて来ます

性格もいろいろですが、人生の諸先輩たち、なにかとてもいとおしく感じます