ひな祭り騒動記

夕べ、”聴耳頭巾”をかぶって寝てみました
でも、ここでは頭巾かぶらなくても、ユズボウの足音や気配が聞こえるんですけどね


じっと耳を澄ましていると、声が聞こえてきました


”どうしたのネコさん、なんで泣いてるの?”

”毎年3月3日が近づくと悲しくなるんだよ” ”なるんでちゅ!” ”そうなんだよな〜”

”なんで?”
”だってそうだろう、お雛様ばっかり特別待遇でさ!俺らだって、たまにはお客様の部屋でお披露目されたいよ”
”でも、お雛様は普段暗い箱の中で我慢してるんだよ
僕達はロフトの飾り棚で一年中お客様を見てるから、いいじゃないか”
”あのねー、期間限定とか特別展示とかだから大事に扱われるんじゃないか
一年中近くにいると、当たり前の風景で気にもとめてもらえないんだよ”
”そうよそうよ、その証拠にほら、この埃!
いくら私達が誇り高きネコだからって言ったってさ、ひどいわよ”


「あっちゃー、まずい〜」


”それにね、あんたら犬族やベコの牛族はまだいいよ、12年に1度の干支年があるからさ
俺らそれさえ無いんだよ〜ひどい待遇じゃないか、うえーん”
”わ、わかったよ、そんなに悲しまないで、僕達、ハナと清兵衛を通してキリコさんに伝えておくから”


「ふんふん、ワン2から聞いたふりしてればいいんだな」


真夜中、なんだかハナと清兵衛が急に吠え出して、なかなか泣きやまなかった



今日は3月3日、ひな祭り
「さあさあ、今年は大勢で写真取ろうね〜、はい、奈々ちゃんも美代ちゃんも入ってー
小さなお雛様も並んで並んでー、黒ネコさん達!こっちむいて〜」
”いえ、私達、こんな晴れがましい場所は恥ずかしくて・・・”
「何いってんの、はい、笑って笑って・・・バタァ〜」


”あんた、いい演技だったわよ、私惚れ直したわ””父ちゃんすんげー”
”そうか、じゃ来年もこの手で行こう”





”はぁ・はぁ・はぁ、  あれー記念写真終わったの〜
なんで、待っててくれなかったのよー”


「?ってか、誰も、あんたのこと呼んどりませんが」