栂尾神楽

椎葉村の栂尾神楽は国指定重要民族無形文化財です
天正の頃(400年位前)栂尾の開拓者であり、スサノオノミコトを祭神とする栂尾神社の初代神主であった黒木済門之助が肥後の阿蘇神社に行き神楽を習得し村人に伝えたと言われています


ここの神楽の装いは羽織・袴で神事としてのおもむきが強いなと感じます
ただ、面白いとおもったのは、神楽を舞う拝殿前の御神屋の天井中央に”雲”と呼ばれる龍画の天蓋が滑車で吊るされ、楽器のリズムに合わせて動かすようになっています]
楽器は太鼓・笛・シンバルで、神迎えの時は法螺貝も吹かれます
太鼓は御神屋の西南隅が定位置で、太鼓に渡した横木を「楽」といい、この樫の木の板を打つものを額打ちといい今回、二人の少年がこの役をしていました
栂尾神楽はこの「楽」の音が入る速いリズムで叩かれる太鼓が特徴のようです


神楽の開始は22日の午後6時頃からで終了は23日の午前9時頃になります
平年の例祭神楽のほか三年に一度、大法のしめの願神楽が行われ、演目は45番ぐらいまであります


まず、古老が3人神前に登り神歌を歌たいながら静かに注連竹をゆする”しめおこし”から始まります
3番”つがもり”はまず拝殿で、蔦蔓の上下を祝子が潜ったり跨いだりしたあと、境内で婦女子・参詣者が同様に潜ったり跨いだりします
それから、裏山の神社に行きます
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そこで神迎えの儀式が行われ、宮神楽が舞われます
そして神輿が拝殿に安置され、供え物をして大祓詞祝詞奏上・玉串法典の祭式が執り行われ、神楽が始まります

なにせ夜通しの長い長い神楽です
舞う方々はもちろん、見る方もがんばってますが・・・とろとろと眠気が襲ってきます
眠気防止なのか寒さ対策なのか、唐辛子のピリピリ効いた大根と厚揚げのたいたんが途中で振舞われます
そして、19番の”芝入れ”
この時は境内の参拝者が舞殿に乱入して、祝子の鈴や御幣を取り笛や太鼓に合わせて乱舞していいのです
老いも若きも入り乱れて、躍らにゃそんそん!
もちろん、アメノウズメ気取りで踊り狂いました〜

又、舞の合間に3回の厄除けの餅投げがありました
この時は眠気も吹っ飛んで寝てる人を乗り越えて拾いましたが・・・
やはり朝方にはもう限度で2時間ほど寝いってしまいました


奥深い山里の集落は年々過疎化が進んでいます
それでも、八百万の神を讃え、郷土の祖霊を崇め鎮め弥栄を願い、参拝者と神の分身として舞う祝子たちの健勝が盛り込まれているこの神楽を、地元はもちろん、外に出ている方も神楽保存会員となり継承してきました

外からの参拝者にも親戚のように温かく迎えてくれます
来年は大法のしめの願神楽の年です
万障繰り合わせて、又、出かけたいなと思います