終の棲家探し№Three

  • 牛の糞

一の宮町がある阿蘇谷から北外輪山を越えて小国方面に車を走らせると、見渡すばかりの高原・草原が窓をきる。ハイウェイではおじさん達もバイクで徒党を組む。
初めてここに来たときは、日本にもこんなところがあるんだ、と心解き放されたのを覚えている。
その草原に寝そべるのは阿蘇和牛とジャージー種の乳牛である。草原に柵を作りその中で放牧するが、時にはほころびた柵から牛が出るときもあるのでご注意くだされ。
日本で放牧はここ阿蘇と北海道ぐらいだが、それも少なくなっており、今は放牧していない草原の一角を見せてもらった。
昔の糞があった。土が肥えていそうだ。遠くに阿蘇五山が見える。手を広げ走り回りたい衝動にかき立てられる。ここに家をと思ったが多くの難題があった。
給水の為井戸を100m以上掘っても出てこない地形のようだ。近くにも湧き水がない。そしてここは「中山間地域等直接支払い制度」適用の土地である為5年間は賃貸、勿論売買は出来ない。
<この制度は、急傾斜地など耕作放棄されやすい農地などについて、集落全体で維持・管理していく協定を作ったとき国から交付金が支払われる農業政策の一つ>

  • 大根畑

小国郷は杉山か草原か大根畑かというぐらいの大根産地である。
大根農家に貸している土地を見た。一角を売ってもよい話も出たが狭すぎた。隣の草原は、息子がいるので将来の為手放さない。今まとまったお金は要らない。断る理由はいっぱいある。共有地だという別の広い草原も見た。相談した人から「他の共有者に話してみる」とのことだったので一ヶ月も待ったが何もなし。電話をすると「別荘地にするので売ってくれという話がある」とのことであった。我々に細切れで売るより業者にドンと売った方がいろんな面でよいのだろう。