ネズミサイズの遺体

父親が両手に包み込むように、小さなケースを抱いて斎場にきた。妊娠数ヶ月ほどの遺体は、子ネズミほどの大きさでしかなかった。母親はまだ病院のベッドのなか、流産である。
火葬時間は20分ほど。遺骨はあるだろうか。ほとんど燃え尽きたり、吹き上げられたりしてなくなる場合がある。
つまよう枝のような細い骨が見つかった。遺骨収集を望む父親の願いはかなえられたのである。初めての子を流産した悲しみがホッとした父親の顔に変っていた。
合掌