孔雀
- 毒を無毒化する
多くの参列者が收骨室を埋めた。杉板でなく彫りが入った立派なお棺には、名士が眠っていたのだろうか。骨壷も色彩豊かにきらめき、中に収められる白骨を彩るかのようだ。
骨壷のふたには、その値打ちに関係なくどれも孔雀の絵が舞っている。
孔雀のいわれは、仏教が中国に旅する以前から、インドで仏教が生まれたその時にさかのぼる。
孔雀は、毒蛇や毒蜘蛛を喰う。体液、細胞で解毒して噛み砕く。そのため、古代インドでは仏性を持つ「孔雀明王」として高められたという。
この孔雀明王は拝見した事があるが、他の明王と違い武器を持たず菩薩のようである。空海は孔雀明王と釈迦如来は同一化していると述べているが、そのため柔和な顔をしているのであろう。
孔雀が稀有な奇声を残し、優雅に光を散華させながら飛翔するその姿に、人間は極楽浄土に旅立つ自分を重ね合わせているのかもしれない。
- 淘汰される人間
孔雀明王にすがりたい事件がおきている。
鳥インフルエンザウイルス感染は、粘膜経由だけでなく感染死の鶏肉を食べても発症とベトナムで発表された。牛のBSEが最初に発見されたのはイギリスだが、その病原体の起源はインドに始まるとの説がある。
一方、日本でも長いあいだ食用であった「スギヒラタケ」が突然毒化して昨年20人あまりが死亡した。化学でも解明されない現代ミステリーは確実に新たに発生してきているようだ。
人間が犯している過ちは、人間自身が償うべきであると地球ー宇宙が我々に突きつけ、実践してきているのだろうか。