不思議な光景

多くの遺族は、火葬前と火葬後の表情が変る。
火葬前は、遺体に人として接する事ができる最後の瞬間である。高ぶる感情を全身で表す人や奥底に留める人様々な態様がお棺を取り巻く。心を置き忘れたかのような表情をしながら。
しかし、火葬が終わり白骨体で再会するときの遺族は、別人である。みんなの表情は日々の匂いを感じさせる顔つきになる。いつもの会話が飛び交う。冗談、微笑みもみられる。
交錯する人間の感情は定義できないと言われるかもしれないが、この前後の景色は理解できない。
今日の告別・火葬は神式で行なわれ、ローソクやお香にかわりお神酒やお米、さかきが並び一斉にお辞儀をした。