魔女キリコのお薦め映画

それは中国映画「山の郵便配達」です。
長年、山深い地域に郵便物を片道3日間かけて歩いて配達してきた父の足の具合が悪くなり、都会から帰ってきた息子が後を継ごうとする心ホットのお話。
若い時からずっと配達のため家を留守にしてきた父。新婚のとき淋しさに耐えきれず自殺未遂をした母。そんな父を理解できずにきた息子という人物設定です。
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仕事を教える為父は足の痛さを我慢しながらもくもくと歩く。そのあとを重い荷物を背負い、ぎこちない沈黙とともに歩く息子。
けわしい山道、やぶ、川、こんなところを父は毎日歩いていたのかと息子は驚く。
途中で父が遅れあわてる息子は、初めて父を背負って川を渡る。
夕方、郵便物を首を長くして待っている部落につくと人々の父に対する感謝と尊敬の念が広がる。
宿泊した家族の温かいもてなし、そして自分の跡を継いでくれる息子を嬉しそうに話す父の姿。
息子はだんだん父とその仕事を誇りに思うようになる。
配達先最後の部落では、老女が土間の椅子に腰掛けて待っていた。
深いまなざしと凛とした表情、でも目は見えない。苦労して都会へ出した孫からの手紙をいつまでも待っているようだ。
この「盲目」の老女に、父は孫からの手紙を読んであげる。そのうちきっと帰りますから、元気でいてくださいと。老女は微笑む。
しかし、父が手渡す手紙には何もかかれていない。驚く息子にうなずく父。
老女は感謝の気持ちで二人を見送る、どこまでも深い穏やかなまなざし。でも老女は見抜いているのではなかろうか。そのように感じさせる場面、この場面が一番印象的だった。
家に帰り、一日休んで息子は足取りも軽く今度は1人で配達に出かける。
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見終わった後温かい心になる、そんな映画でした。
ところで、お正月に”貴方の夢かなえます”というテレビ番組があり、確か高知県の20歳の女性郵便局員さんがこの映画にとても感動して、自分も同じように歩いて配達してみたいという夢が番組に採用された。
想像以上の過酷な道のりで5日もかかり体力も限界。それでも案内の男の人がバッグを持とうと言ったけれど、これは自分の仕事だからと歯を食いしばり、垂直にかかるはしごをも登り山を超えた。
この番組、見ていて涙がこぼれてきました。
宿泊の家でのご接待。美味しい肉ですね、というと犬の肉ですというこたえ、ゲッと吐き出していた可愛い女の子。最後の部落では総出で日本からの山の郵便ネーちゃんを迎えてくれた。
逞しきかな日本女性、若い人の行動力と優しき心に大拍手です。