第29回日本アカデミー賞・作品賞は「パッチギ!」か?

違います、やはり「ALWAYS三丁目の夕日」でした。
昨日、アカデミー賞授賞式があった。
監督賞・山崎貴、主演男優賞・吉岡秀隆助演男優賞堤真一助演女優賞薬師丸ひろ子などすべての最優勝賞を「・・・夕日」が総なめでは、当然の帰結だったかな。
一方、映画情報誌「キネマ旬報」は05年度の作品ナンバーワン(第79回ベストテン)に「パッチギ!」を選んでいる。「・・・夕日」は第2位だった。
ちなみに「キネマ旬報」の第79回ベストテン監督賞は「パッチギ!」の井筒和幸、主演男優賞はオダギリジョー

京都を舞台にした在日と日本の高校生の人間模様と、戦争と歴史がいかに人間を差別してきたかを背景に漂わせた映画であった。暗い歴史、日本の侵略も根底にはあるだろう。
しかし、心の隅にまとわりつく、いい様のない重たさは、映画の中盤から終盤にかけ払拭され、映画の中の高校生になっていく自分を見る。
若者達の心の叫びと愛が、悲しい過去を乗り越え、日朝間に新しい歴史を作るのだ、僕達の時代は明るい、との思いが素直に見るものの心に訴えてくる。
そして、井筒監督らしい「青春」の発露がふんだんに、それは”戦闘シーン”として高校生の喧嘩なんだけど、てんこもりに登場する。例えば、鴨川の川原で多分京阪三条と思うが100人ばかりの喧嘩、これはやりすぎかなとも思った。
音楽は「イムジン河」。
塩谷瞬演じる主人公・松山康介が爪弾くギターには「イムジン河」が幾度と流れ、日本人の松山康介と在日朝鮮人キョンジャ(沢尻エリカ)との清純な愛には「ウエストサイドストーリー」が重なる人も多いだろう。

イムジン河水清く  とうとうとながる  みずどり自由にむらがりとびかうよ 〜〜〜〜 北の大地から南の空へ  とびゆく鳥よ自由の使者よ   誰が祖国を二つに分けてしまったの〜〜〜〜

1968年、ザ・フォーク・クルセダーズが歌った「イムジン河」だが、発売直前に販売中止となった。朝鮮半島の北と南の国境を流れる「イムジン河」を曲・詩にしたのは北の人だった。
映画の題名パッチギとは”突き破る、乗り越える”のハングル語。

  • 選考委員の利害関係の結果?でも映画は見たい

キネマ旬報」の選考委員は映画評論家や映画記者クラブなど第三者が多いが、日本アカデミー賞のそれは俳優や映画事業など多くの映画関係者によって決まる。
「パッチギ!」「・・・夕日」ともに最高。しかし「パッチギ!」しか見てないので多分「・・・夕日」も最高だろう。機会があれば是非見たい。