母と食と平戸と犬の舌と絶叫

masam482007-07-24

  • 戦争と母

「ああ!をとうとよ、君を泣く  君死にたまふことなかれ」(与謝野晶子
多くの人に悲劇を与えた戦争。私の母の兄弟姉妹は6人だったが、4人を戦争で失い母を含め2人だけが生き延びた。しかしその後、母のお母さんは原因不明の病気でこの世を去った。母の口癖は「着ているものより住まいよりも大切なことは健康、食べること」だった。母と叔父さん、難病により今はその二人もいない。
先日、法事でその母の実家・平戸に行った。

  • 日本最初の海外貿易港

長崎県平戸市。長崎の「出島」以前の90年前から平戸は貿易港として日本で唯一、外航船でにぎわっていた。その当時、平戸を通じて初めて日本に紹介された物はビール、ペンキ、タバコそして、サツマイモやパン。いづれも平戸に初上陸とはビックリである。

法事の前日の夕食は、平戸の中華料理を食べた。私が幼い頃から母が作ってくれた「皿うどん」も注文したが、やはり懐かしい味、美味い。
皿うどんといっても一般的に想像するうどん料理と異なり、中華麺を使う。これが複雑怪奇というかお店によりそれぞれ独自の皿うどんを持っており、細麺の中華麺をパリパリに揚げるか太麺にするかがある。具は、キャベツやもやしにカキ、イカ、えび、かまぼこなど。その上に片栗粉でとろみをつけた餡をかけるかかけないかでも違う。
甘みがあって美味いのなんの、野菜と海の幸の味がコラボして溶け合うこの味は最高。サラリーマン時代は大阪で時には食べることもあったが、この本場の味にはかなわない。

  • お勧めのお土産

平戸のお土産で大好きなものは、「川内かまぼこ」と「あご」と「牛蒡餅」。
かまぼこは、エソが主原料で麦のストローで巻いてある。昔とは味が変わってきているが今でも昔の味が残っている。あごは飛魚のこと。干し魚だがさっと焼いて熱いご飯や酒の肴にちょうど良い。牛蒡餅は、400年前の中国の製法から学んだものらしく、色と形がごぼうににているからの名らしいが、お盆とかに出されて希少価値か販売数は少ない。

  • 犬食

法事にはワンチャンたちも同行した。
長旅で疲れたのは我々だけでなくワンチャンも同じで着いたとたんゲージから開放されてはしゃいで手に負えない。パンをあげたら”いけめん清兵衛”は飲み込んでしまった。ゲッゲッと苦しそうにする。「どうした清兵衛!喉に詰まったか」ゴッと吐いたのはパンの塊。吐いたとたんにそれを又飲み込んでいるではないか。「オイッ大丈夫か」。
犬も食わぬゲロしたものを犬食でうつむいて一心不乱に食べている。犬畜生にも劣るやつだ。でも犬死しなくて良かったな。聞こえたのか清兵衛は、舌を出して首をすぼめ横を向いた。

  • 犬舌

猫舌ではない犬舌。
「北部九州の梅雨明け」とラジオで言っていたが、やはり長崎も暑い。清兵衛も舌をこんなにもこれ以上ないほど伸ばしている。安心もしているのだろうか尻尾を振るときは舌も出して飼い主の顔をなめる時がある。犬の場合は、あかんベッェ〜ではなく愛情表現かもしれない。阿蘇よりもここは暑いから大変ですね!清兵衛とはなちゃん。

  • 窓から見える多数の白い手

長旅から帰ってきた今日、「木もれび庵 たゆたゆ」の近くに選挙カーが来た。
たくさんの白い手が操り人魚のように同じ方向に繰り返し動いてる。隣の農家のおばさんがそれに合わせて手を振った。「おばさん、○さんのファンですか」「違うよ。あちらが降っているから降らないと」。田舎の人は可愛いな。それを知らないのは白い手達だけ。

ランタンの明かりの元で「飛魚」とビールを飲んでいたらもう7月末というのに木々の間から少し明かりが見えた。名残蛍だ。こんな時期に生きている意味はなんですか蛍よ。