田舎暮らしは楽しい。初の田植え

今日は楽しさ一杯のイベント日。それは手植えの田植え。
広さは3畝(農家の人の水田に関する表現方法、300㎡の広さ)ぐらいだと思う。「3畝でも手植えするとは物好きだな〜」と言われて貸していただいた田んぼである。”木もれび庵 たゆたゆ”から車で5分ぐらいの少し平地に下がった所。回りは田んぼばかりで集落に囲まれたイノシシも出没しない”安全な場所”にある。(イノシシの運動会跡を見たことがある。稲も倒されそのあとがまさに縦横無尽に残されていた)
素人二人での作業には丸一日かかる計算どうり、朝8時からスタートして夕方5時には終了した。昼は弁当食べる一時間ぐらいの休憩だからスーパーハードな農仕事だった。
終わると直ちに近くの温泉へ直行。川で泥手足を少しきれいに洗い、自宅の風呂に直帰せず温泉へ。身体を温泉に”埋め”、身体は疲れても心は満足な一日を振り返った。


苗は「私が(消毒)農薬使わない苗を作ってあげますよ」と優しい田んぼ貸主からありがたくいただいた。苗作りからしないと本物百姓ではないのだが、最初だから素人でいこうと今年は安直な米作りのスタートになった。

  • 品種

熊本県産「あきげしき」。熊本ブランドには他に「森のくまさん」がある。全国版の早生の「こしひかり」より遅い収穫になる。
米を比較するときの基準としては「でんぷん質」「たんぱく質」が主な要因と思うが、粘りを出そうと思えばでんぷん質の「アミロペクチン」を多くしてもち米に近くする。こしひかりがそうだ。炊飯器が高レベルに開発されている現代では毎日もち米を食べなくていい?から適度な粘りでいいと思う。旨味はたんぱく質が低いほど感じる。

  • 美味しさの秘密

私は、品種と作り方と水が米の美味さの主因と決め付ける。
九州の平地では米が取れず、そんなに取れなかった北海道が主生産地になる地球の”悲劇の時代”を近く迎えるが、そんな時こそ積雪があるこの地(九州のチベット?)での無農薬栽培に心を込めた自己手作り米が日本で一番美味しいし心安らかに食べられるお米と思う。
味わいについて私が思うことは、頭で感じるのではなく噛んでいる時に心が満たされることが味の美しさだろう、ということです。【注:高温化により九州での米作りには障害が出てきている】

  • 田植え中


株間は30センチに3本の苗を泥の中に差し込む。水はとても温かい。カエルが逃げ回る。カニが穴に入る。一緒になって田植えだ。秋には立派に成長して米粒をたくさん実らしてくれよ、と念じながら。
余談だが、朝日新聞天声人語氏はカニは海か川にしかいないと思っていたそうだ。「現場」を知らない人に新聞を書いて欲しくないがカエルは木に昇り、カニアスファルトを歩く。

  • ファッション

カラフルなもんぺをはいてファッショナブルに早乙女気分で、とはいかない。
”日焼け”と”ヒル”に噛まれない対策用にゴム製の田植え足袋(ワンセット1,500円だった。高いと感じた)に長ズボン、長袖と帽子。半そで半ズボンの運動会ではないのだから軽装でなくとも重装備でいいと考えた。
長靴にしなかったのは足跡がどでかくなるだろうし、長靴が泥にとられ脚がスポット抜けたら困るから。そんな姿を想像しただけでも、悲劇のヒーローはいやだ。

  • 足跡


ずぼっ、と25センチぐらい埋没する足を上げて前に進む技術がこれ難しい。
時にはよたりながら何度か田んぼにダイビングしそうになった身体を起こし、こらえて前進する。ほふく前進になったら困るな、と変な想いが頭をよぎりながらもがんばるぞを念じてのフラフラ前進だった。
そんなこんなを経ながらもなんとか最後まで正しい体位を維持でき無事終わってホッと安堵した。
感想は、足袋をはいていても靴下から生足まで泥に包まれる。素足がいいかな。翌日のひきつけや痛さは、腰よりも太もも中心の脚全体に及ぶ。
そして素人に手植えされた稲たちは、どの苗君たちも横向いて知らんふり。「りっぱじゃない。いいですよ。これがちゃんと立ち上がってくるのだから」の貸主の励ましお言葉を頂き自己満足して田植えも終了した。

  • 伏流水


水は適度な冷たさと暖かさが必要。野菜もそうだが、刺激良い寒暖差がしっかり苗に成長させる。いつも暖かいのはダメです。【注:温度差が無い場合でんぷんが米粒に届かず白化する】
久住山に降り注いだ雨は地下に潜り、それを集めた小さな水脈が川になりこの地に流れてきている。空からも上流水からも汚染されていない清流で元気に強く育って欲しい(酸性雨は別として)。