嵐が丘


野暮用で急に市内に行くことになったが、夕べから風と雨がすごい
愛車にはクヌギの花がべったり張り付いていて、さすがこのまま市内に行くのは恥ずかしい
雨の中、ホース水で洗車して出かけた(なんてこっちゃ)
風は止まず、雨も止まず、さて、どの道を下りていこうか?と運転しながらも迷ってる
時間帯を考えると、ミルクロードが混まなくていいのだけれど、霧中走行覚悟しなくちゃ
ん?でも、今日は点灯している対向車が少ないぞ、ということは大丈夫か?
分岐点ぎりぎりまで迷い、結局イチかバチかとミルクロードにした
原野に出ると、さえぎるものがなく阿蘇谷から吹き上げる霧は異様な形となって向かってくる
5岳を覆うドンヨリとした雲、風になぎ倒される牧草、赤茶色の土手、
必死でハンドルを握っていると、ふと”ヒースの丘”を走り抜けているような錯覚に陥いる
若い頃読んだ"嵐が丘”の小説、ストーリーは激しい悲しい恋の復讐物語だったけれど、
印象に残っているのは全編に漂う暗い空と風になぎ倒されるヒースの丘
主人公・ヒースクリフの性格はイギリス・ワークシャー地方の暗く寒い環境から生まれたと思うほど、読み終わってどよ〜んとなった反面、人を愛するということはこんなにも激しいものだろうかと感動もした
厳しい環境の中では、おべっかや作り笑いは出てこない
生きることに必死なときは何事に対しても真剣になる
本音で生きる必要を痛切に感じながら嵐の中猛スピードで市内へと下りていった