つかこうへい氏を悼む


朝ニュースで選挙の結果を見ていたら、つかこうへい氏の訃報が流れた
戦後演劇界を代表する劇作家・演出家
62歳、まだまだ若い、とてもとても残念な死
熱海殺人事件、鎌田行進曲、飛竜伝、幕末純情伝、などなど
舞台や映画を何度も見に行った
1960年の激動の時代を経験した同じ世代の舞台はいつも弱い立場からの目線だった
何回目かの熱海殺人事件の舞台を見たとき、犯人の在日韓国人が日本人の名で生きてきた惨めさと葛藤をせつせつと刑事に訴える場面があり、切なくて申し訳なくて声を殺して泣いた
そのとき、どうしてこんなせりふがかけるのだろうと調べて、納得した
”つかこうへい”も”いつか公平に”との願いをこめてつけたとも知った


熱海殺人事件では毎回刑事の木村伝兵衛役が変わるのだけど
今までの役柄とは考えられない俳優が演じ、刑事の隠された人としての苦悩が描かれる
その後、その俳優も今までの殻を破り、存在感が出て光りだす
つかこうへい氏の舞台に出て輝きだした俳優は数知れない

まだ東京に住んでいたとき、北区に”つかこうへい劇団”が出来たときいて本気で劇団員になりたいと思った
でもすぐに大阪に移ったので実現は出来なかったけれど


肺がんに倒れても病床から舞台の役者にアドバイスしていたというつかこうへい氏
こころからお悔やみ申し上げます
         
               この世はすべてひとつの舞台、人間は男も女も役者にすぎない
                    シェイクスピア{お気に召すまま}より