じゅていむ・すうぷ

以前、ラジオで小川洋子さんが本を紹介してたコーナーがあり、よく聞いていた
そのなかのひとつが”食堂かたつむり
なんとなく、浮世離れした所の童話的で読もう読もうと思いながら、機会がなかった
そしたら、映画化させてしまい、DVDとなっちゃってた

私は話題の本はかなり間をおいてから読む
映画化されてしまったら、映画を見てから、後から読むタイプ
どちらも感動するか、どちらもたいしたことないと思うかだ



さて、”食堂かたつむり

原作小川糸    監督富永まい
登場人物  主人公”倫子”は柴咲コウ   奔放な”おかん”は余貴美子
      脇役で彩る江波京子・三浦友和・草野礼子・ブラザートムなど

内容は”不倫の子だから、倫子”とからかう奔放な生き方をする”おかん”を嫌って、祖母と暮らし始めた幼い倫子
そこで祖母手作りのおいしい料理に感動し、充たされた日々
祖母の死後、残された糠付けをかき回しながら、料理人になる夢を持つ
開店のめどがついた時、ガサムマサラの匂いがする彼氏に全財産を持ち逃げされてしまう
ショックで声が出なくなった倫子は”おかん”のいる故郷へと戻り、そこで”食堂かたつむり”を始める
そこは一日一組限定の、倫子がお客への想いをこめて作る、おまかせ料理のみ
ところが、それを食べたお客は不思議なことに願いが叶い奇跡が起こるのだ
でも、”おかん”はなかなか倫子の料理を認めてくれない
倫子も”おかん”の生きかたを毛嫌いする
ある日、倫子が風呂に入っていると”おかん”も入ってきて、言う
「私、癌なんだって、ガーン!
今まで、傷ひとつ付けたことの無い綺麗な体、いまさら、メス入れたくない」
そして、見てもらった医者が、”おかん”がずっと捜し求め操を守っていた初恋の相手
少しの間でも一緒に暮らしたいと願う二人のために、結婚式の料理を倫子がまかなう
それは、”おかん”のペットであった”豚のピンク”が命を奉げてくれた物




”倫子の倫は倫理の倫、清く正しくちから強く生きていくんだよ”
死後、母の倫子への本当の気持ちが解かるんだけど
操を守った”おかん”に何故”倫子”?のなぞもね
これは又、母と娘の話でもある



う〜ん、映画はCGグラフィックもあり、少女マンガの映画版と見られるかもしれないな
でも、余貴美子、江波京子はさすがだね
歳とともに、妖しく美しく、ぞくぞくする
魔女と呼ばれるのはこんなタイプかもしれないな
すると、キリコは程遠いか、とほほ・・・


これ原作本は読んでみたいな
たぶん、活字からはもっともっといろいろな想いが感じられそう
映画の中の料理はそれほど、たくさんは出てこない
でも、凛とした空気の中、倫子が素材に向き合い、瞑想するがごとくお客様へ想いを込めて料理する姿にググッっとくる
その中のひとつが”ジュテーム・スープ”
想いが叶うようにと、たくさんの野菜とハーブを入れてやさしくコトコトと煮込んだスウプ

       「食べる」ことは
        愛することであり、
        愛されることであり、
        つまり生きることなんだ
        って改めて教えられる
        素敵な物語でした。 

      ―――草野マサムネスピッツ


私と母は”おかん”と”倫子”の関係ではないんだけれど
まだ、口から食べれない母に、ひとさじ食べさせたいと切に切に想った