ときくすり

14時46分、2ヶ月前のことを想い、黙祷しました

ずっと書こう書こうと思いながら、タイミングを逃していた言葉があります


”解き薬”です


母のところに泊まっていたとき、新聞のコラムで出逢いました
ガンで奥様をなくされた方のことを書いてありました
しばらく周りの人からは、慰めの”時薬”の言葉をよく頂いたそうです
死別などの時、人の悲しみは時と共に和らいでいくということを意味している言葉で”日薬”ともいいますね
頭では分かっていても、なかなか事実を受け入れる心の切り替えは難しいものです
寝込んだり、欝になる方も少なくありません


その方も、無理に明るくふるまっているうちに、体調を崩されました
あるとき、パソコンにむかってふと、ときくすりの”とき”と書いてみたら、沢山の字が出て来たそうです
そして、そのなかで”解き”をみたとき、ああ、自分に必要なのはこの”解き薬”だと思われたそうです
長い間、淋しさや悔しさを人前では出さずに我慢しておられました
涙を見せるのは女々しいと思うようになっていたそうです



でも、”解き薬”の言葉に出会ったとき、
今までの悔しさ悲しみ、そして怒りさえも湧いてきて、奥様の写真に向かって大声で何時間も泣き叫んだそうです
そして、最後に暖かい涙に変わり、心が軽くなったそうです


あれから、2ヶ月
被災地の方は当時、「自分よりもっと大変な人がいるから、このくらいは」といって居られました
”がんばろう日本”のエールが全国から流れ、口癖のように「頑張らねば〜」と言って居られました

全国から優しい心はたくさん届いてはいるだろうけれど、もう我慢しなくていいよって言いたいです

事実を報道しない原発の危険な状況、
あんなに集まったのにすぐに配られない義援金
遅々として先の見えない復興への政策
そして、だんだん薄らいでいく人々の感覚

”時薬”では、もう時間がないのです

皆さんが体調を壊さないよう、大きな声で怒ってください、泣き叫んでください
今必要なのは”解き薬”なのではないでしょうか



写真はハナイカダです[
新芽は山菜として食べます、開いた葉の上に小さな花が咲きます
数個咲くのは雄の木です、雌の木には花はひとつ、黒い実になります


私たちも揺れる葉っぱに同乗する仲間なのです