脳が肥大化した人間

読書

痩せた百姓にとっては、真夏の太陽は過酷過ぎる。干上がりそうだ。だから、昼間は昼寝しながら読書にいそしむ。
今日読み上げた本は、「動物はすべてを知っている」(J・アレン・ブーン著上野圭一訳)。
紹介文は次のように記している。
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ハリッドの百万ドル俳優犬ストロングハートとの共同生活をきっかけに、あらゆる生き物とコミュニケーションできることに気が付いた著者が、その実践を試みる。イヌもヘビもハエさえもあらゆる命は「沈黙のことば」でわかりあえる。「生命」「生きる意味」の大いなる謎をやさしく解き明かした幻の傑作
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  • イヌ

”利口な動物の前では人間がいかに愚鈍な存在であるかを、わたくしは生まれてはじめておもいしらされた”著者は新しい出来事に戸惑いの日々を過ごす。しかし、徐々に犬という動物への印象がこれまでいかに誤りであったかを得ていく。”人がイヌを訓練するという慣習そのものをひっくり返してイヌが人を訓練するという試みに挑戦しよう”と思いたったときから著者は内なる目を開き、イヌに関する事実はイヌから得よとの教えを記憶していくのである。イヌと人間の境界は”人間の五感”にあり、”知能の低い畜生”とうそぶく人間のおごりにある、という著者は、異種間コミュニケーションは”宇宙のこころによる沈黙のことば”のなかに存在するとの考えに達する。

  • ヘビ、ミミズ、アリ、ハエ

「矮小な動物」にもその心根にはやさしい気持ちが隠されているという。その心と水平の関係を抱くことであるという。農園をゆたかにしてくれるミミズ、このミミズにも思いを寄せる。”われわれ人間は美徳や有用性について多言を弄するが、あの小さな生き物たちは生きることがそのまま美徳、有用につながっている。しかも、見返りや感謝を要求するものはただの一匹もいないのだ”
ハエたたきを連想させるハエ、しかしハエの礼儀作法を知ってから著者は悩まされることがなくなる。その他アリやスカンクなど登場する動物すべてに心を通わせる著者。

  • 脳が肥大化した人間

心を通わせることは別としても、人間の思い上がりは著者の言うとおりだ。
人間は大宇宙の支配者である、そこまでいわないまでも自己が全であるとの振る舞いを聞く。そんな勘違いが政治の世界から足元まで多くある。
人間も大動物も、矮小な動物も植物も生き物すべてが地球誕生に源を一つにしていたのだろうし、それ以降は「生命の維持」のため競争がおこなわれ、力関係が優劣を決して今日の地位を作ってきたのだろう。しかし、どう考えても人間だけが思い上がりはなはだしく、それは脳だけが肥大化して心は失われていく必然的な過程で起きる事象なのかもしれない。

  • 土壌の神秘(ピーター・トムプキンズ著新井昭廣訳)

ミッシェル・ライト・スモールは自然の精霊とスピリチュアルなコンセンサスを得る。”私は色々指令を受けました。何の種子を買いなさい、どんな肥料を使いなさい、種子はどれくらい離してまきなさい、作物の間引きはいつしなさい、また苗と苗の間はどれくらい間隔をあけなさい、といった命令を受けました”。
想像するだけでも愉快な生き物の世界、ファンタスティックな物語、動物も植物も対等に人間もその世界に入り込めば美しい姿を取り戻すかもしれない、人間だって生き物だ。

  • 図書館に感謝

「動物はすべてを知っている」の本は近くの町立図書館から借りたもの。田舎には本屋が少ないのでわたくしはAmazonや農文協から購入しているが、図書館にも月平均5冊ぐらい貸し出してもらっている。
感謝します。