たそがれ清兵衛を超えるかいけめん清兵衛

子犬

〜〜出産したよ4人も?オスと雌の二匹づつ、、、。
大阪から移住してきたパン屋の友人の弾んだ声で躊躇することなく「もらうよ」。
〜〜でもどうしよう。オスか雌か。一匹でいいけどね。
出産して数ヶ月後、オスをもらうことにして犬を見に行った。
四匹それぞれ特徴があるというかまったく人間と同じで、われわれがもらう子はおとなしくまったく吼えない。友人に抱かれて全身を弛緩させている。もう一匹のオスは、猪を追う犬として行き先は決まっているそうだが、食欲旺盛でいちばん太っていた。四匹の中でいちばん強い子はメスの細身の子。もう一匹のメスはサル顔の毛並みが茶色。この個性が強力な大将とサルのメス二匹はいまだ貰い手がないという。

両親は、セッター系混血とビーグル系混血。
≪Beagle≫ヨーロッパでウサギ狩りの猟犬として飼育された小さめの犬。製薬会社での飼育が多い。理由は個体差が少なく、生理的安定度が高いなど実験用動物として適しているため。
≪Setter≫鳥猟用の犬。一日に数十キロ平気で走る長距離ランナー。肥満にならず毛並みがよくて人気がある。銃の無い時代には獲物を威嚇して、動くことのできない距離を保ち、伏せの姿勢で主人が来るのを待つ特性を持つとして重用された。伝聞によると、猟犬を見失った主人が数年後、白骨化したセットの姿勢の飼い犬を見つけ、その前には鳥が白骨化していた。
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四匹の中で最も先祖と無縁なのは私がもらう子のようだ。でも、控えめに見えても実は先祖の猟犬の血をいちばん引いているかもしれない。しつこく獲物を追いかける根性があると信じて、名前は「いけめん清兵衛」にしよう。。映画『たそがれ清兵衛』の主人公、海坂藩で小禄・傍流のうだつが上がらない武士清兵衛が藩を救う闘いで功を成すように、二代目清兵衛は必ずやウサギを捕まえてくれるだろう。