小麦畑からパンができるまで

小麦

パン用小麦「ミナミノカオリ」がはじけようとしている。昨年の11月5日、宇宙の力を一番得る日、月の上昇期「実の日」に蒔いて約半年、「こんなに立派になりましたよ」と言っているようだ。黄色く変色してきたら収穫だが、阿蘇のふもとなど標高がもう少し低いところはすでに収穫時期に入っている。

  • 全粒粉を挽いている画


去年収穫した玄麦(全粒粉)を上部から入れてハンドルを回すと手前から粉が出てくる。
手動の粉挽き機は疲れます。北部イタリアのチロル地方産の石でとても良いよ、と薦められての粉挽き機だけどだんだん疲れてきます。200グラムの粉を作るのに男の力で20分はかかり、かといって早く回すと石が熱くなり、これでは石臼の意味がなくなるのでやはり「エンヤトット」とスローに回すが、パン屋さんはどんなにしてるんだろうと覗いて見たくなる。
宅配をしている人以外にも「美味しいパンをもっと欲しい」と言ってくれる人がいるのにたくさんできずにすみません。エンヤトットなのです。

  • 液種と元種の画


左側はリンゴ液種。右は発酵液(液種の)に全粒分を入れて作った元種。液種とは、ビンに半分ぐらいのリンゴのざく切りを入れ、水を注いで常温にして毎日かき混ぜたもの。二日目ぐらいから泡が出始める。まだかまだかとあせらずにじっと我慢して五日目、リンゴジュースの味とアルコールの香りがほんのりとしてきたら発酵液:液種の誕生である。
水はアルカリイオン水にしているが一度、ミネラル分をたくさん含む湧き水でやってみようかなと思っている。酵母菌が好きな水は多分、水道水ではないだろう。恋する人はアルカリイオン水かそれとも湧き水か知りたいので。

  • 元種の画


続いて元種を作る。
元種君、君も五日間ほどかかるね。皆のんびりしているんだな。こうなるとやはりですねスピーディなパン屋さんを覗いて見たくなる。
液種に同量の全粒粉を加え、ひとつまみの塩を入れてかき混ぜる。同じ要領で繰り返すこと三日目にはお好み焼きだ、になる。生地は盛り上がり、大きな泡がブツブツ。その後2〜3日生地さんは落ち着いたかな、トロトロ状態に変身して誕生となる。サアッ、冷蔵庫でお休みですよ。

  • こねる画


元種に全粒粉、マクロビの南部地粉、天日塩を加えてパン生地を作る。
今日は人参の葉と白ゴマ、オリーブオイルを加えて10分ほどこねた。充分にこねた後は一晩お休みなさい。今は常温でお休みできるが、寒いときや機嫌が悪いときはコタツの中が好きなようだ。時には浴室や布団の中に行きたがるときもある。寒がり屋は大変です。
今日は人参などが入っているが、野草茶や味噌、豆の煮汁、そば茶も”適任”だ。
こねて一次発酵して形を整えて二次発酵すれば最終段階へ。

  • 完成


焼くと出来上がり。イーストフード利用のふわふわパンと違って噛んで味が広がる、固めの濃い味がするパンだから少しでおなかいっぱいになること間違いなし。私は食パン党だったが「噛まずに急いでパンを飲み込んでいたら歯も頭もボケますよ。噛めば噛むほど味が出るのが元気の元ですよ」なん〜て言われてその気になって今は”天然酵母パン党”、しかも”粉挽き大将”になった。
こうして長い旅も終わり小麦君はパンさんになったのであります。畑で半年風雨に耐え続け、人間の暖かい手のひらからエネルギーを転写?されてパンができました。
以上、”魔女キリコの自家製酵母パン誕生物語”(著者:ネクタイをした百姓)でした。
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熊本グリーンツーリズム会員制民泊『木もれび庵 たゆたゆ』が熊本・阿蘇にオープンしました。 建物はFSC認証(国際森林認証)の杉材使用、壁や無垢材には珪藻土や柿渋を塗り、呼吸する家になりました。お食事には、自らの力で育つよう手を添えているだけの自然農法野菜に野草や山菜も並んだ里山マクロビオティック風家庭料理を心を込めてご用意いたします。 旅寝旅食は、多くの温泉地に囲まれた当庵で気が向くままのんびりとたゆたゆとお過ごしください。tayutayu@minami-catv.jpにメールをお待ちしています。