食は命・・・血となり肉となる

  • 野菜のパワー(命)を見直そう

人間の血と植物の葉緑素の科学的組成は大きく違わない。特に新鮮な野菜にある”生きているクロロフィル”は我々の細胞を活性化し、造血作用など免疫力を高めている。
穀類・イモ類が食の大部分を占めていた時代は、今日見られる難病も無く、自家で病気を治療して多くは健康であったようだ。野菜や植物の民間療法は昔からの知恵である(東城百合子氏の「自然療法」)。当時、現代医学が存在していれば健康と長寿は当たり前となったであろう。
暑さ寒さの四季を野菜の旬と体のリズムが同調し、我々の身体を健康に維持・調整してきた。例えば、キャベツに由来する胃腸薬「キャベジン」や化粧品開発に役立ったビタミンCなど現代の治療にも野菜は寄与している。勿論、これらの前提としては、旬のものを新鮮なうちに、である。

  • たとえばシソ

今が旬のシソ。ベータカロチンは人参やパセリ、カボチャより抜群に多い。がん予防に有効とよく言われている。
魚介類の毒消しで「刺身のつま」に使われている。花粉症の原因物質を抑える成分を含んでいるとシソジュースには人気がある。ベリルアルデヒドは胃を活発にし、リノレン酸動脈硬化に良いなどは定説になっている。

  • 命のパワーもハウス栽培では不十分

しかし、野菜の栽培方法によってその栄養価値も代わってくる。
ビニールハウス栽培が多いのは四季の影響が少なく、農業の経営が安定するからであるが、紫外線をさえぎるハウス栽培に問題は無いだろうか。
植物の葉緑素には太陽光が大きい影響を与える。太陽を浴びて自分の身体を作るとともにビタミンやポリフェノールを体内で発生させて酸化状態から自分を守る。気温の変化にも柔軟に対応可能な自己コントロールをしているといわれている。動物は暑さを避けて木陰に行くが、野菜は移動不可能。そのために対応能力を身につけてきたのであろう。
太陽光を遮断して気温差もないハウス栽培野菜では成分が落ちて当然だろう。(栄養価が変化しているところから日本食品標準成分表が5度も改訂されていることからもうなずける)【例:1982年の第四訂からシソのビタミンCは100g中30mg.も減少】。
虫食いだらけのチンゲンサイの苗。一週間も葉裏を見なければ葉がボロボロになる。

  • 断固拒否は農薬

ベテランの農家人の使う言葉で「昔の味は濃いかったばい」をよく聞く。今の野菜は食べやすくなったうえにパワーが薄められてきたということだろう。加えて、農薬使用の野菜となれば市場の野菜は食べられなくなる。
農薬の登録数は、約4,500件500種類ほど。そのうち除草剤は3割。しかも毎年、失効や新規が入り乱れる農薬だから「完璧に管理・使用せよ」と使用者(農家)に言っても多分、不可能であろう。販売業者に都度教えてもらいながらの購入になるが、無登録農薬を28都県で販売していた悪質業者もいるほどだから不安は払拭できない。「体調の優れない、又は著しく疲労しているときは、散布作業に従事しない」など、行政通達の事故防止の注意事項を隅から隅まで読む人はそんなに多くないだろう。

  • 多肥は土を人間をけがし未来の地球までも危うくする

こんな会話がある。「家庭菜園しているけど実が小さいんです」「堆肥をたくさんすればできるバイ」。この言葉が今の常識になっている。
しかし。考えたい。
多収と見栄えを求めて多肥にすると硝酸塩濃度(硝酸塩は人間の体内で発がん物質へと変化する)が高まり、温暖化ともあいまって病害虫の発生が頻発する。農薬を使わざるを得なくなってしまう。そして、見栄えは良くなるけど中身は薄くなる。更に、この多肥が原因で大気中には窒素酸化物などが蔓延する。気候の異常発生の一要因となる。
見栄えが良い立派な野菜、甘くて食べやすい野菜、そんな消費者の欲求、考えが変わらない限りこの問題の解決はありえないだろうし、敢えて言えば、食・農の今日的テーマを解きほぐす糸口も見えてこないのではないかと思ってしまう。

  • 自然に任せたシソとは

太陽をしつこく浴びた無農薬・無肥料のシソは、お店で見るものとあまりにも違う。味と見た目が”エッ、何”の一声。見た目はゴツゴツ。サラッとしていない。味は、”食べてごらん、よそ行きの顔になるよ”となる味。”シソッだ”の味がしない表現できない味です。大昔のシソの味、歴史を知りたい。