草木国土悉皆成仏

昨年の東日本大震災復興構想会議で哲学者・梅原猛氏は
「この災害は天災でありますが同時に人災でもあります、そしてそれは文明災でもあります。
文明が原発を作り人間の生活を豊かにしてきたけれど、その文明が災にあった今、その裁きに対してどういう答えを出すか、人間の文明が変わらなければいけない」と発言しました
今まで自然は怒るものだという観念がなかった
原子力に反対はしていたけれど、強く主張せず、どこかで容認していた
と梅原氏は深く反省したそうです


原子力を生んだ現代の科学技術文明の背後には、自然を意のままに支配しようとする人間中心の西洋哲学があったと梅原氏は考えています
その根底にあるのはルネ・デカルトの思想
"我思う故に我有り”
世界で唯一確かなものは考える自分自身、自然は数式に置き換えて容易に支配できるものと考えた人間の自然支配、
そしてそれは又、人間の人間支配の哲学であった
地球上にない物質を作り、それで豊かになると錯覚した文明を見なおさなればいけないと3・11後、梅原氏は既存の哲学を問い直し、新たな文明を真剣に模索し始めたそうです


そして、中心に据えたのが仏教の言葉の
「草木国土悉皆成仏]
(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)
草も木も土や風に至るまで地球上のありとあらゆるものに仏が宿る
人間も草や木と同じ地球の一部に過ぎないという考え
そして又、地球そのものも同じように生きていると捉える
梅原氏はこの思想は縄文時代由来の自然と共存する日本人のDNAに受け継がれていると考えています
日本で起きたこの災害はとても意味があったのではないでしょうか

地球上の全てのものが、楽しく生きてまっとうに成仏すること
地球はそれをずっと望んでいました
そして地球も同じ望みをもっていたことに人は気づかなければならないと思います