脳梗塞

たくさんの参列者である。
脳梗塞で倒れた働き盛りの男性は、その後数時間で旅立ってしまった。
こんな小さな町にも厳しい仕事、苦悩に満ちた人生が満ち溢れているなんて。
「脱サラ万歳!里山の暮らしだ」と暢気に叫んだ私の近くで、この病名によるお悔やみである。
私の大阪でのサラリーマン時代はまさに闘い、会社そのものを体現化したような人生だった。多くの仲間が心身を痛めつけたし、病にふした友もいた。ゴルフの幹事で張り切っていたのに、コースに出ることなく脳梗塞で帰らぬ人となった残念な出来事もあった。
都会、田舎を問わず、サラリーマンの正体はギリギリの仕事を強いられ、しかも檻の中にいる動物なのかもしれない。
健康な体が突然奪われたせいか、火葬時間も早かった。骨も固い。丈夫な骨が骨壷からあふれそうだ。「入るだけでいいです」遺族の無念さがにじんだ言葉であった。