雪中火葬、人間の生死は自然の営みのなかにある

火葬場全体を包み込む雪を排除しないと遺体も搬入できない。
雪かきをした。雪は止んでいたので助かったが、雪かきにはスコップではダメ。雪がへばりついてはなれないし、綿雪以外は重たくてすぐばてるから、プラスチックの雪かき専用のスコップを使う。軽量で押すだけのすぐれものである。
でもつらいナ。ホウキではいたり、塩化カルシウムを撒いたりして重労働の作業は「ネクタイをした百姓」にはこたえる。腰が痛い、右腕の筋肉がピリピリする。やはり順番としては除雪車で「押し」てもらい塩カリを撒く、車が入らないところだけを人力で雪かきをする、これが一番いい。
(雪を溶かし、凍結防止の塩化カルシウムは乾燥剤や食品添加物にも使われている。乾燥剤の袋には食べないで下さい、と注意書きがあるにもかかわらず食品の添加物なのだ)
火葬場に行く途中の坂道は凍結しているところもあったので、遺族の車はノロリ運転で上がってきた。歩いてはスリップに注意。ここで転んで頭を打っては大変だからきれいに除雪してあるが用心である。
無言の静かな火葬であった。この遺体は白骨となり、雪に溶けていくだろうと遺族は感じたかもしれない。