今年も不参加になりそう野焼きボランティア

野焼き

  • 草原が燃えあがる野焼き

3月になると大阿蘇の山々では炎が上がる。
野焼きは天気次第で、前日晴れて当日雨でなければだいたい3月中の日曜日はどこかが燃えている。今年は祭日の今日も25日の土曜も燃える。
特に、瀬の本高原大観峰周辺、俵山など観光スポットでは野焼きボランティアやカメラマンで賑わう。
今年はお手伝いしようかなと思っていたけどダメになってしまった。
草原が燃えるこんな日は、灰が空に舞うから洗濯物や布団干しは止めよう、と暗黙の了解があることを知らずに布団を干してしまった。見上げると黒いものがたくさん落ちてくるではないか、あわててしまったけれどこれも田舎の景色。
当然の行事、大切にしなければ。
そして、野焼き後の草原の主人公は「ワラビ」だ。
しかしご用心、さあワラビ狩りだとあわてるとすすで真っ黒くなりますよ。
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思い出したが、大阪・高槻の淀川沿いには「鵜殿のヨシ原がある。昔から貴重な資源のヨシだが、これも野焼きをしてヨシの新芽を期待したり、ヨシ原の保全のための歴史的行事が続いていた。
しかし、周辺住民の「洗濯物が干せない」などの声で確か伝統行事も中止になりかけたと思う。今はどうなっているだろうか。
自然を守る為あるいは歴史遺産を保持する為と考えられないものだろうか。たった一日二日の自分の都合がそんなに重大事かとさびしくなる。
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  • 野焼きの詳細は現地の方から

 阿蘇の山には草原が多い、草原の草は、春から夏にかけての放牧の牛馬や、冬の間の飼料の為の干し草の原料になります。阿蘇のすばらしい草原は自然に生まれたものではありません。何百年もの間、人々が野焼きを行って人工的に作ってきたものです。

 野焼きによってダニなど人畜に有害な虫を駆除するとともに、牛馬の餌の草を育てています。野焼きをやめると木が生い茂り草原はなくなるとのことです。草原の美しさは野焼きによって保たれています。

 野焼きは早春の阿蘇路風物詩ともなっております。春の彼岸ごろ、風のおだやかな日を選んで冬枯れの原野に火がつけられると、火は風をおこし勢いを得て一面に燃え広がります。外輪山や中央火口丘の至るところに炎が走り、見る間に大地を焦がしていく様は壮観。炎のスピードがこれほど速いものとは!(写真は奈良崎様ご提供)

 しかし、近年では人手不足で野焼きの面積もだんだん狭くなっているそうです。阿蘇の草原がなくなるとの声も聞きます。そして今「自然と人が共生するモデルケースとして草原維持に取り組もう!」、「草原は人の営みと結びついた自然の文化財だ!」というような「草原を考える会」などが活動をはじめております。きれいな草原を未来に残すためには、私たちも何らかの行動をしなければならいのかも知れません。

 この野焼きが済んで、1週間もすると黒々とした土地が青いジュウタンを敷き詰めたようになり、一面青い草で覆われます。そのあと肥後の赤牛の放牧がはじまります。秋の草刈が終わる頃には冬が訪れ、茶から黒へ、そしてまた新緑に染まり、草原の色は四季折々変化していきます。

 観光野焼きも行われ、日没とともに火がつけられ、真っ暗闇の中に炎が走り、壮大な炎が夜空を焦がします。「すばらしい自然をいつまでも」と願わずにはおられません。

最近では、野焼き、火文字焼きや火振り神事などをまとめて『阿蘇の火祭り』として、阿蘇に春を告げるイベントとして知られるようになりました。一度、3月の阿蘇を訪ねてみてください。草原を後世に残すために不可欠な野焼き、最近その人手不足を補うためのボランティアを募集している地区もあります。